海外駐在に必要な英語力とは?
「海外駐在が決まったけど、今のレベルじゃ到底仕事なんてできそうにない。。。」
「海外赴任を目指したくとも、英語全然話せないし厳しそうだな。。。」
このように感じている方は少なくないと思う。
自分もそうだったからよくわかる。
では、そもそも海外駐在に必要な英語力とはどれくらいのレベルなのか?
結論を言うと、あなたが仕事をこなすことができるレベル。
そして、こう言っては元も子もないが、それは人によって違う。
しかし、その違うということの意味を正確に理解することが何より重要である。
とはいえ、万人共通で求められるレベルは確かに存在するだろう。私なりに考えるビジネスで最低限必要となるレベルも併せて示す。
また、駐在での英語というと英会話、つまりリスニングとスピーキングをなんとかしなくてはという気持ちがあると思うが、足りない方への補完テクニックもお伝えしたい。
駐在先はどこか?あなたは何をするのか?
駐在先がアメリカ、イギリスなどの英語圏か、非英語圏か。
当然だが、これにより求められる英語力は変わってくる。
しかし、重要なのは国や地域ではない。
あなたがそこで何をするのか?という点だ。
さらに解像度を上げると、あなたがそこで具体的にどのような仕事をどのような相手とどのように行うのか?という点が重要である。
例えば、あなたの職種が営業だとする。
魅力的なセールスを行うには、拙い英語では確かに物足りないと感じるだろう。
しかし、本当に全ての営業マン・ウーマンが流暢に英語を操れる必要があるだろうか?
そんなことはない。
営業と一言でいっても、いろんな業種のいろんなタイプの営業がある。
昨今は一方的に売り込むのではなく、顧客からの反響を待つスタイルも増えてきているだろう。
営業は一人で行うのか?チームで対応するのか?
打合せがメインなのか?大半はメールベースでの対応で済むのか?
仮にあなたが営業マネージャーで、顧客への営業活動は現地スタッフの部下が主に対応し、あなたは部下からの報告をメールベースで受け取りメールで指示をすることがメインだとすれば、英会話力はそれほど必要ではないと言える。
また駐在員の場合、日本本社との調整が一定の業務割合を占めることは多い。
人によっては、日本語:英語を使う割合は50:50というケースもあると思う。このケースでは、考え方によっては、英語が全くできなくても仕事の半分はなんとかなるとも言える(これはちょっと極論だが)
最初の営業の例の場合、もちろんリーディング・ライティングのスキルはある程度必要となるが、それははっきり言ってどうにでもなる。意味が分からない文章は自動翻訳ツールが使って理解し、文章の型をいくつか学んでおけば言いたいことは伝えられるだろう。
多くの人にとってネックとなるのが英会話、つまりリスニング・スピーキングだと思う。
仮にこれがさほど必要にならないとなれば、「あなた」の海外駐在に必要となる英語力は初中級レベルの読み書きができれば十分、と考えることができる。
海外駐在といっても十人十色。
ならば求められる英語力も同様であり、その環境により全く異なる。
ネットでよく見かける「駐在行くならTOEIC○点取らなきゃ」などの情報に翻弄されてはならない。
それは万人に当てはまる情報ではなく、ある個人のただの感想である。
ビジネス英語はメールで補完可能
とはいえ、現実は中々厳しい。
上述の例のように(英語力を求められないという点で)恵まれた環境に赴任する方ばかりではないだろう。むしろそれは少数派だろう。
多くのケースでは外国人相手に英語で会議もメールでのやり取りもどちらも行わなければならない。
メールはなんとかなるが、会議がどうにも困った。
こう感じている方は多いと思う。
つまり、特に英会話が課題だと。
それははっきり言って正しい。実際に英語の会議があるのに相手の言っていることをほとんど聞けず、満足に言いたいことも言えないという状態では大変困った状況に陥る。
しかし、自分が駐在してから強く感じることがある。
メール(文章)で補足をすれば十分やっていける。
会議で分からなかったことがあれば、簡単な議事メモを作って相手に確認すればよいのである。
なんなら、相手に頼めるのであればそれに越したことはない。
会社や人のスタイルにもよるが、自分が作る場合は、きっちりとした議事録は(必要なければ)作らず、だいたいはメールに結論と要点のみ記載して送るだけである。
仕事の目的は何か。
それは「英語を正しく理解すること」ではない。関係者とコンセンサスを得て、仕事を前に進めることだ。
そのために使える手段は何でも使えばいい。
議事メモを送って確認してもらうことや作成依頼することについて、相手に面倒臭がられることをためらう気持ちはわかる。
「話すのが早い」「メールでの確認は手間」だと考える人もいるだろう。
しかし、ちゃんと意思疎通ができていないまま仕事を進めることのほうがお互いに困ることになるのは言うまでもない。
また、議事メモを残すことの大切さは英語うんぬんとは別のところにもある。
会議内容を記録に残す、こんな単純なことで後々に起こりうる「言った・言わない」レベルのくだらないトラブルを防ぐことができる。
多くの方にきっと同意いただけると思うが、会社では本当に予想斜め上のことが起こる。
人間同士分かったつもりになっても、全然違う意味に捉えていたなんて日常茶飯事とは言わないが、何度も経験がある。
ましてや、文化背景も異なる外国人と日本人との間では誤解が生じるリスクが高い。
駐在員にとって、議事メモは自分の足りない英語力を補うツールであるとともに仕事を円滑に進めるための魔法のツールと言える。
駐在に求められる最低限必要なレベル
あなたにとって必要な英語のレベルは、あなたが仕事をこなすことができるレベルである。
それは人によって異なることを書いてきた。
しかし、海外駐在に最低限求められるレベルは確かにある。
私の結論はこれだ。
- 相手の言っていることのポイントが分かる
- 自分の言いたいことのポイントが伝えられる
以上。
なんの面白味もない内容だが、少し説明させてほしい。
まず、TOEIC○点などの指標は含めていない。
簡単に言えば、TOEICができる≠英語ができるだから。
詳しくはここでは割愛するが、特に英会話においてはTOEICは全く当てにならない。自分も駐在のずっと前から805点持っていたが、英会話は全くダメだった。
次に、見ての通り①はリスニング、②はスピーキングを取り上げ、リーディングとライティングは含めていない。
なぜか。
前述の通り、リーディングとライティングはどうとでもなるからだ。
最大の特徴は、時間をかけられること。その時間を使って、昨今の翻訳ツールを使えば理解できないなんてことはありえないし、文章校正ツールでも使えばそれなりの文章は誰にでも作れる。
一方、リスニングとスピーキング、つまり英会話は待ったなしで対応しなければならない。
相手の言っていることが全く何も理解できない、口から何も単語が出てこない、ではさすがに厳しい。即刻帰国されられても不思議ではない。
しかし、安心してほしい。英会話も当然完璧である必要はない。
会話はコミュニケーションなので、ポイント(要点)を互いに理解できればあとはなんとでもなる。
そして、ポイントを理解するのは実はそれほど難しくない。
なぜなら仕事上会話しているのだから、そこには共通の文脈があるはずである。
その前提で必要があって会話しているのだから「あぁこういうことを言いたいんだな」とある程度予想がつくことが多いと思う。
相手が言っていることが分かれば、自分のスピーキングに多少難があっても伝えたいことのキーワードを強調して言えばきっと伝えることができる。
そこそこ聞けて、話せれば大丈夫。
これが、自分も赴任してから実際に感じたことである。
まとめ
英語に自信のない人にとって、海外駐在への英語のハードルは高いものだと思う。
自分もそう感じていた。
しかし、実際に必要な英語力はその人の環境により全く異なる。
あなたが仕事をこなせれば、そのレベルで十分。
こなすといっても、涼しげな顔でスマートにこなせなくてもいい。
毎回手のひらに汗を握りながら、必死に相手の言いたいことを理解して、自分の言いたいことをひねり出す。
それでなんとか仕事が前に進めばそれでいい。
最低限必要なレベルは確かにあるかもしれない。
しかし、足りない部分を補ってくれる便利なツールも探せばいくらでもある。
毎日なんとかこなしていけば、いつの日か汗をかかずにスムーズに会話ができるようになってくる。
最初から不安がる必要はないのだ。
自分の経験談は↓ もしよかったら参考にしてほしい。